現在、使用貸借契約が争点となっている裁判を3件抱えているのですが、どの事案も事実認定と法解釈をめぐって双方の言い分が真っ向対立しており長期化の様相を呈している裁判です。これだけ同時に使用貸借に関わることも珍しいので備忘録も兼ねて以下まとめてみます。
1つ目は、当事者間の契約が賃貸借なのか使用貸借なのか争っている案件。使用貸借の場合、借主が死亡すると契約は終了するため(民法597条3項)、借主が亡くなったことを理由に貸主側から解除したところ、借主の相続人がこれまで固定資産税相当額を支払ってきていることから使用貸借ではなく賃貸借である(=賃借人の地位が相続され契約は存続する)と主張されています。
2つ目は、使用貸借契約終了に基づく原状回復義務の範囲・金額が争われている事案。これは、使用貸借が終了して借主が建物を退去したものの、借主によって無断改築が行われていたため、貸主側から原状回復を請求したところ(民法599条3項)、借主側からは反対に必要費・有益費を支出したとして償還請求を受けている事案です。なお、この案件では、使用貸借契約に国土交通省策定の原状回復ガイドラインが適用されるのかも争点となっています。
3つ目は、親の代に使用貸借契約が締結され既に40年近く経過しているときに「目的に従った使用収益に足りる期間の経過」があったと認められるか争われている事案。両親ともに他界し、当該土地を相続によって譲り受けた貸主から契約を解除し明け渡しの請求をしています。なお、この事案では使用貸借の対象となっている一部の土地を第三者に売却していることから、その部分に関しては占有権原(対抗要件)は備えていないものの、借主側からは権利濫用との主張が展開されています。
その他にも、遺留分侵害額請求事件の示談交渉で、土地の使用借権減価を争っている案件もありました。どれか一つでも年内に解決するといいのですが。
弁護士 市村陽平