ご相談事例

心揺さぶる読書案内 楠木建『絶対悲観主義』


6月はたくさん悩みました。事件処理のこと、家族のこと、自分の人生のこと。私があれこれ悩むと足を運ぶのが書店です。ぶらぶら歩いていて見つけたのが、楠木建さんの『絶対悲観主義』という本。楠木さんについては、以前に『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』を読んで以降、雑誌のコラムなども気になって目を通していた作家さんです。今回は新書版ですが、タイトルもさることながら、帯に書かれていた「GRIT無用、レジリエンス不要」に意識が向きました。というのも、5年ほど前、山中伸弥教授の書籍で「レジリエンス」という言葉を知った後、この言葉を大切にして学生などにも紹介してきたところ、楠木さんの書籍では「レジリエンス不要」と書かれていたのです。

中身について、興味を惹かれた部分としては、「仕事のスタンス」で書かれていた「「仕事は仕事」と思っていたほうがかえって気持ちよく集中できる。これは大変だという事態に直面しても、「いや、そんな大層なことではない」と思えば、また切り抜けるアイデアもでてくるというものです」という件。そういえば、私の敬愛する松坂熊吾(※宮本輝さんの小説上の人物)も「なにがどうなろうと、たいしたことはありゃあせん」が口癖だった気がします。

この他にも、「人気と信用」、「高齢化問題の最終解」、「トレードオフの選択」、「潔さ」、「脱力力」などに書かれている内容が悩み解消へのヒントになりました。自分なりの結論として、平時の基本的スタンスとしてGRITもレジリエンスも大切だけど、有事になって限界を迎える前にはこれらもかなぐり捨てて運を天に任せようかなと思います。

 

弁護士 市村陽平

 

 


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