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心揺さぶる読書案内 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』


2023年がスタートしました。今年も新年から慌ただしくなりそうですが、誠実に仕事と向き合い粘り強く前に進んでいきたいと思います。

年末年始にかけては毎年何冊か本を読みます。日頃なかなかまとまった時間がとれない中で、年末年始だけはゆっくりと物事を考える時間をとることができるので、購入したまま積ん読状態になっていた本を読み進めていきました。

その一冊が、國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』という本です。本書は、暇と退屈を主題にして500頁に及ぶ論考を重ねていきます。哲学や倫理学的側面からだけでなく、経済学、生物学、脳科学などの観点からも考察されていて、その内容はまったく暇と退屈を感じさせません。普段、私たちが「忙しいのは嫌だ」と思いつつも、ふとした瞬間に「ああ退屈な時間は嫌だな」と思うこの矛盾した思考の謎が論理的に解き明かされていく上に、最後には「暇と退屈」を抜け出すヒントまで与えてくれていて人生訓としても良書だと思います。

いくつも紹介したい部分がありますが、特に①驚きだった内容と②妙に納得した内容だけを取り上げます。①「単に考えることが重要だという人たちは、重大な事実を見逃している。それは、人間はものを考えないですむ生活を目指して生きているという事実だ。」②「人はそれぞれ物事を理解する順序や速度が違う。同じことを同じように説明しても、だれしもが同じことを同じように理解できるわけではない。だから人は、さまざまなものを理解していくために、自分なりの理解の仕方をみつけていかなければならない。」「実際に何かを理解する経験を繰り返すことで、人は次第に自分の知性の本質や本性を発見していくのである。」

 

弁護士 市村陽平

 


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