法制審の部会が、現在の民法に規定されている女性の再婚禁止期間や嫡出推定制度などを改正する要綱案をまとめているようです(R4.2.2日経朝刊)。女性が離婚した後100日間再婚を禁止されている制度や、女性が離婚後300日以内に出産した子は前夫の子と推定される制度は、国連の機関などから長らく女性差別の温床だとして廃止を勧告されてきました。
私は、前者の再婚禁止期間の問題を直接取り扱った経験はありませんが、後者の嫡出推定の問題については、実際に困っていた方から相談を受け対処法を調べたことがあります。私の場合、相談を受けたときはまだ子の出生前であったことから、急いで産科医に「懐胎時期に関する証明書」という書面で懐胎の時期(推定排卵日)を記入してもらい、前夫の子でないことを証明してもらった上で、出生届と同時に同証明書を役所に提出するという方法で嫡出推定を免れました。ただ、この例外的制度も実の父親が協力しない場合などには使えないようで、現に前夫の戸籍に入るのを避けるために出生届を出さない選択をした方も約600名近くいるとのことです。その意味で、今回の法改正を通じて、無戸籍者問題の原因が抜本的に解消されることが望まれます。
この他に、現在は父親にしか認められていない嫡出否認の訴えについて母子にも認めるとする改正案や、親権者による子の懲戒権を削除するとの改正案が検討されているようです。法務省によれば、本年中の改正を目指すとのことなので、改正案については引き続き動向に注視していく必要がありそうです。
弁護士 市村陽平