裁判所の関与しない私的整理手続では、これまで多数決原理による債権放棄の効力が認められおらず、すべての債権者の同意が必要とされてきました。このままでは、金融債務を抱えた企業の迅速な再建への途が閉ざされてしまうと懸念が示されていたところですが、最近になって経産省の主導により、債権額ベースで4分の3以上の債権者の合意で債権放棄を認める方向性が出てきたようです。
現時点で制度の詳細についてはよくわからないものの、一部報道によると私的整理手続とはいいつつも再生計画の認可の際には裁判所を関与させる制度設計になることも検討されているようです。また、これまでのガイドラインに基づく準則型私的整理手続とは異なり、第三者支援専門家の選任についても関係者の同意だけでなく行政の関与が必要となるかもしれません。
現在でも一定の要件を満たせば利用できる費用補助についてもさらに拡充されるようになれば、厳格な法的整理手続に比べて格段に使い勝手のよい制度となるのではないでしょうか。
弁護士 市村陽平