株主総会を開催するにあたって、まず行わなければならないのが、招集という手続です。株主総会の招集手続は、取締役会の招集とは違って、会社法上のルールが厳格に定められており、うっかりすると開催日までの期間や事前の承認手続、参考書類の提供についてミスを犯しがちとなってしまうので注意が必要です。
実務上、よく忘れることが多いのが、取締役会設置会社における計算書類等の提供です。株主総会の開催にあたっては、招集の通知に際して、取締役会(監査役設置会社でれば監査役)によって承認を受けた計算書類及び事業報告並びに附属明細書を提供しなければなりません(会社法437条)。この計算書類等の提供と並んで忘れやすいのが、株主総会参考書類(議案、提案理由、選任役員の情報等)の交付です。とりわけ、株主総会において書面による議決権行使を認める旨の決定をした場合には、株主総会参考書類の交付が義務となります(会社法301条)。
期間については、会社法の定めとしては、公開会社の場合は2週間、非公開会社の場合は1週間でも可となり、取締役会設置会社でない会社は定款でこれを下回る期間を定めればその期間ということになります。なお、ここでの期間は通知を発送した翌日から起算して会日までの間の期間を意味しますので、例えば、非公開会社において通知を発送した日の翌日から総会開催日までに6日しかなければ、1日不足という事態となってしまいます。また、非公開会社において、たとえ定款に1週間と記載があったとしても、総会に出席しない株主に対する書面や電磁的方法による議決権行使を認めた場合には、1週間の期間が認められないことになるので(会社法299条1項)、注意しなければなりません。
これらの招集手続に関しては、決議事項とは関係のない形式的な瑕疵に捉えられますが、これを怠ると株主総会の不存在、取消事由となってしまうため、極めて慎重な対応が求められます。
弁護士 市村陽平