ご相談事例

株券発行会社の企業買収について


昨年、企業買収案件で、買手側からの依頼で株式譲渡契約書を作成していたところ、売手企業が株券発行会社であるにもかかわらず、実際には株券が発行されていないという事態に直面しました。

会社法上、株券発行会社の株式を譲り受けるためには、株券の引き渡しを伴わなければ権利移転の効力が生じません。このような場合、本来ならば、株券不発行会社に定款変更して、株式譲渡契約を締結するのが筋と思われますが、依頼を受けた時点で、クロージングまで2週間程度しかなく、総会を開いて定款変更する時間的余裕がまったくありませんでした。そこで、多少のリスクはあるものの、やむを得ず、売手企業に株券を発行してもらうようアドバイスし、何とかギリギリのタイミングでクロージングに間に合わせました。

商法改正を契機に、今ではほとんどの会社が株券不発行会社になっていると考えていましたが、古い会社では定款の見直しがされずに株券発行会社のままになっているところもまだ残っているかもしれません。今回の案件のように企業買収の際、手続が円滑に進まなくなることもありますので、事前に定款を見直しておくとよいでしょう。

 

弁護士 市村陽平


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