先月28日に特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称:フリーランス保護法)が国会で可決・成立しました。これにより、今後、従業員を使用する法人や事業者が、個人の事業者(フリーランス)と取引をする際には、取引の適正化を図るための措置を講ずる必要が生じます。
例えば、①フリーランスに業務委託した場合は、給付内容、報酬の額等を書面等により明示しなければならず、②報酬の支払期限は給付を受領した日から60日以内に支払わなければんなりません。また、③フリーランスの責に帰すべき事由がないにもかかわらず、受領拒否、報酬減額、返品をしてはならず、通常の相場と比べて著しく低い報酬を定めたり、正当な理由なく自己の指定する物の購入や役務の利用を強制することも許されません。
これらに違反した場合には、助言、指導、報告徴収、立入検査、勧告、公表、命令の対象となるほか、命令違反及び検査拒否等については50万円以下の罰金に処せられます。施行日は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲と定められており、現時点では未定となっておりますが、来年秋頃には施行される見通しです。なお、今回成立した新法でも、従前から議論されていた最低報酬規制や所定労働時間規制については見送られていますので、今後、社会的気運の高まりによっては法改正という形でこれらの内容も盛り込まれることになるのかもしれません。
弁護士 市村陽平