ご相談事例

内部通報者への不利益処分に対する罰則


消費者庁の有識者検討会の中で、内部通報者への不利益処分に対して刑事罰を導入する議論が進められているようです(R6.11.7日経朝刊)。近頃、県知事の出直し選挙でも争点となった内部通報問題ですが、これまで通報者に対する企業や官公庁からの不利益処分に罰則規定はありませんでした。そのため、通報者保護の実効性が乏しく、通報の萎縮を生んでいるのではないかとして罰則の導入が議論されています。

ただ、企業アンケートなどを見ていてもわかるように、人事に対する腹いせや殊更悪意を持った虚偽の通報がなされることも実態としてあり、企業秩序を乱した通報者に対する処分や、もともと本人の能力等に起因した人事権発動の一環としての異動まで刑事罰の対象とされてしまうと、反対に組織の側の意思決定が萎縮するおそれがあります。この先、不利益処分の対象や保護する対象者の範囲など意見が交わされる見通しで、早ければ来年の通常国会に公益通報者保護法の一部改正案が提出されるかもしれません。

 

弁護士 市村陽平


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