ご相談事例

全損評価となった場合の賠償内容について


今年は、コロナの影響で交通事故の件数が減少しているようですが、それでも私が今年一年で解決した交通事故の示談件数は20件を超えており、昨年を上回っていました。一口に交通事故案件といっても、複雑な論点を抱える事件も多く、例えば損害額5万円の物損事故でも半年以上要した事件もありました。他方で、短時間で紛争解決する事件もあります。例えば、全損評価と認定された場合に受け取る損害額について争う事件を3件ほど取り扱いましたが、いずれも1週間程度で解決に至りました。

事故車両が全損と判断された被害者が、保険会社の担当者と話をすると、オートガイド自動車価格月報(通称レッドブック)を参考にした車両時価額の提示を受け、その賠償だけで示談に持ち込まれるケースがほとんどでしょう。しかし、裁判例や実務を理解した上で交渉を進めると、車両時価額だけでなく、新たな車両を購入するために必要となる検査・登録費用、車庫証明費用、自動車取得税等の買替諸費用まで賠償を受けられるのです。保険会社の対応として、最初から被害者に買替諸費用の有無を確認してくれればいいものを、被害者が一人で交渉している間は自ら提示せず、弁護士が間に入って指摘するとすぐに金額を上乗せした賠償案を示してくるというのが一般的です。

このように、全損評価となった場合の買替え諸費用の問題は、過失割合や評価損をめるぐ争点と違って、知っているか否か、指摘するか否かだけで賠償額が変動するものであり、長期にわたる交渉や裁判での証人尋問も必要としません。中には、買替え諸費用が加わっただけで、賠償額が10万円弱増加した案件もありましたので、被害者としては交渉してみる価値はあると思います。

 

弁護士 市村陽平


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