ご相談事例

休職期間満了による退職の取扱いについて


雇用する従業員が病気や負傷により休職した後、復職できず休職期間満了となってしまったという事態に直面した経験はないでしょうか。このような事態に対応するための就業規則を確認してみると、大きく2種類の規定に分かれています。ひとつは「解雇できる」という規定で、もうひつとは「自然退職とする」という規定です。

これをみて、どちらも同じような内容に思われるかもしれませんが、実務上は大きく対応が変わってきます。まず、前者の規定に基づき対応しようとする場合、会社から当該従業員に対して解雇の意思表示をしなければなりません。通常、解雇の意思表示は内容証明郵便を用いて行うのですが、従業員が居留守を使って受け取らない場合や夜逃げなどで行方をくらましている場合には、解雇の意思を了知させることができません。最終的に相手が通知を受け取らなければ、管轄の簡易裁判所に公示送達という方法による送達を申し立てなければならず、相当な手間と時間がかかります。これに対して、後者の定めがある場合には自然退職ですから、従業員に会社の意思を伝える必要はなく、前者に比べて格段に簡便な対応で済みます。そういうわけで、休職期間満了の扱いとしては、就業規則に「自然退職とする」という規定を置いておくことをお勧め致します。

最近では、メンタルヘルスなどで長期の休業を余儀なくされる社員も増えています。そんなとき会社としてどう対応すればよいのか、本人が復職できると申し出たときに引き続き休業を命じることができるのか、主治医と産業医の診断が異なるときどのように判断すればよいのかなど、会社として難しい対応を迫られます。このような精神疾患がからんだ休業の問題について、近時注目される裁判例がいくつか出てきていますので、また改めて紹介したいと思います。

 

弁護士 市村陽平


お気軽にご相談ください。
TEL 0564-26-6222
平日 9:00~18:00(土日祝休) ※事前のご予約で時間外も承ります。