ご相談事例

在宅勤務中の中抜け時間の取扱いについて


新年が始まりました。年が明けてもなかなか収束が見通せないコロナウイルスの影響で、大企業だけでなく、地方の中小企業も在宅勤務等のリモートワークを検討している会社が増えてきている印象です。先日も、ある会社の総務担当者から、一部職種の社員を対象とした在宅勤務の導入を考えているが、中抜け時間の扱いをどうしたらよいのか相談がありました。

在宅勤務を採り入れる場合、従業員にとっては、中抜けできる時間があることはメリットが大きいと思われます。他方で、在宅勤務にしたからといって、必ずしも会社が中抜け時間を認めなければいけないというルールはありません。したがって、まずは、当該会社が従業員の中抜け時間を認めるか否かを予め決めておく必要があります。その上で、これを認めるのであれば、就業規則等で、何分以上を中抜け時間とするか(一般的には15分以上が目安かと思われます)、申告の方法をどうするか(口頭でよいのかメール等で申告させるか、また当日でもよいのかどうか等)、中抜け時間を取得した場合に振替えをどうするのか(有休取得扱いとするのか、労働時間を繰り下げるのか等)をしっかりと定めておく必要があります。

実務では、従業員にリモートワークをさせる場合でも、会社は労働時間の把握義務を負っていると理解されています。会社に出社して勤務する場合よりも、リモートワークでは労働時間の管理が困難になりますが、会社としては従業員の自己申告のみに頼るのではなく、情報通信機器を利用するなどできるだけ客観的な方法により記録することが求められますので、その点にも注意が必要です。

 

弁護士 市村陽平


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