昨日の新聞記事に「日本が解雇しづらい国だなんて信じられない」と語る50代男性の体験談が掲載されていました(R5.2.6朝日朝刊)。この男性は、数年前に管理職(給料高め)として中途入社したが、目標としていた成果をあげられず、「能力が著しく不足」「改善の見込みがない」「他の職務にも転換できない」として普通解雇を受け、それに納得ができず解雇を撤回させて職場に戻るために裁判を起こしたそうです。その会社とは、最終的に当初提示の金額の2倍の解決金を受け取ったとありましたが、興味深かったのが、再就職先でもまた解雇を受けていたとの件。(以下、記事を引用。)
次の会社で受け取った退職証明書には「勤務状況が著しく不良」「改善の見込みがない」などと書かれていた。いずれもあいまいで、合理的な理由とは思えなかった。男性は再び撤回を求めて、会社側と争うことを決めた。交渉は3か月ほどで決着。会社側は当初示した解決金を倍に増やし、男性は退職に応じた。(引用終わり。)
私の雑感・・・①特別な能力を期待されて好条件で中途採用された社員と一般的な新卒社員とは同列に扱うべきでなく、前者の場合、目標としていた成果を達成できなかったときには解雇もやむを得ないと考えられること、②短期間のうちに、2度も解雇されるというのは経験やスキルの面で客観的評価と自己評価が相当かけ離れていたのではないかということ、③そして何より、現在議論されている金銭解雇制度を導入すればもっと早期にこのような男性を救えるのではないかということ。③に関していうと、男性は最初の会社との裁判で弁護士に依頼をして数十万円の負担を強いられたそうですが、金銭解雇制度が実現すれば、余分な弁護士費用も省けるのではないでしょうか。
弁護士 市村陽平