ご相談事例

障害者雇用をめぐる最近の議論について


企業が障害者の法定雇用率を満たすために代行業者が運営する農園で障害者を働かせる「代行ビジネス」が波紋を広げているようです(R5.2.27朝日朝刊)。記事によると、代行ビジネスについて厚労省が調べたところ、全国で十数社が計85か所の農園を営んでおり、少なくとも契約企業は800社、働く障害者は5000人にのぼるとか。

この状況について、障害者支援団体からは「雇用率をカネで買う行為」だとして批判の声。その一方で、以前は企業で作業をしていた当事者の声を聞くと「ここの方がノルマがなくていい」と答え、別の当事者の家族も「やっと見つけられた働き先。当面はこのまま働いてほしい」という意見も。

最後に記事で取り上げられた識者の意見としては、農園で作った野菜が販売されない場合が多いことについて「生み出した成果物に対価が払われ、それをもとに賃金が支払われるのが『労働』だ。農園での作業は学習やリハビリの域を出ないと考える」と批判的見解が紹介されていましたが、古めかしい「労働」概念にとらわれた教条的な主張としか思えません。もしその主張が正しいなら、果実(結果)につながるかわからない試作や思考を重ねる行為は労働ではないのでしょうか、成果とは無関係に働く(たとえば役所などで公務員として働く)ことは労働とは呼べないのでしょうか。

残念なことに、このような識者の凝り固まった意見こそが、日本の障害者雇用の枠を狭める結果となっている気がしてなりません。

 


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