ご相談事例

遺留分侵害額請求事件で負担付遺贈の主張が認められた事例


普段、遺留分侵害額請求を受ける側の立場で委任を受けると、なかなか有効な反論が成り立たない場合が多いのですが、先日、負担付遺贈の抗弁が一部認められて相手からの請求金額を減額できた事案がありました(最終的には和解で解決)。

この負担付遺贈については、そもそも民法の条文上(1045条1項)は「負担付贈与」としか規定されていないため、遺贈の場合でも類推適用できるのか最初に争点となりました。この点は、注釈本や立法に携わった関係者の一問一答などを参照して、早い段階で負担付遺贈でも適用可能との心証を得られました。

次に、事件の最大のヤマ場が、金銭的価値に置き換えることが困難な負担をどのような評価して控除するのかという点。遺贈を受けるにあたって、こちらが負担と考えている内容は種々あり、どれも明確には金銭に置き換えられなかったのですが、経済白書や各種統計資料などの客観的資料から受遺者の家計簿なども揃えて主張した結果、一部分について負担付の認定を得てその部分を遺留分算定のための基礎財産から控除することができました。

冒頭述べたように、請求される側の遺留分侵害額請求事件では苦しい戦いを強いられることが多い中で、私自身も貴重な経験を得られた案件です。

 

弁護士 市村陽平


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