遺産分割事件では、基本的にすべての相続人の合意がなければ成立しません。それは、調停を申し立てた場合でも同様で、裁判所から呼出状が届いたにもかかわらず、調停手続に出頭しない当事者がいた場合には調停を成立させることができず、審判手続に移行することになります。
ところが、先日取り扱った案件では、相続人の一人が協議の段階では話し合いを無視し、調停の呼出しにも一度も応じなかったところ、2度目の調停期日において、裁判所が「調停に代わる審判」という手続でこちらの言い分をすべて認める決定によって終結してくれました。ただし、簡易ではあるものの、調停ではなく審判となるので、14日以内に異議を申し立てる権利は残されており、確定には少し時間を要することになります。
以前に関与した案件では、遺産の対象が預貯金しかなかったときでも審判移行となっていたことから、今回のように調停に代わる審判で解決できると期間が短縮できて関係者にとってはよかったのではないかと思います。
弁護士 市村陽平