少し前のことですが、私が選任された相続財産清算人事件(※債務超過事案)の預金口座が県税事務所によって差し押さえられるという出来事がありました。相続財産清算事件では、被相続人の財物を換価して回収できた金銭の中から債権者に公平に分配することによって終結へと導きます。被相続人の財産の中に、換価が困難な山林や田畑があれば、当然時間も要することになり、その間債権者には返済を待ってもらわなければなりません。
ところが、今回、問題となった県税事務所は、配当まで待てないの一点張りで、私が事件のために開設して金銭を管理していた口座を一方的に差し押さえてきました。これは他の債権者との公平性を著しく損なう抜け駆け的な行為と言わざるを得ません。確かに、相続財産清算事件では、破産法のような強制執行を禁じる規定は存在せず違法とまでは言えないかもしれませんが、これを許してしまえば、配当を辛抱強く待ってもらっている債権者に示しがつかなくなります。
破産手続と同様に、公平性・平等性・透明性が強く要請される相続財産清算手続にあって、強制執行禁止や失効の規定が存在しないのは明らかな立法不備といえるのであり、直ちに立法や裁判での是正措置を求めていきたいと考えます。
弁護士 市村陽平