未成年者が殺人を犯したことに対して、親権者である母親も損害賠償責任を負うのかという争点について、今月25日に福岡高等裁判所は「指導監督を怠らなければ、事件に及ぶことも防止できた」として母親の責任を認めて未成年者と連帯して約5400万円の賠償を命ずる判断を示しました。
私自身も、殺人事件ではないものの、これまでに犯罪被害者支援の一環として、中学生のいじめ案件で加害者の保護者に賠償を求めたことがあります。その際に問題となったのが、「監督義務者がその義務を怠らなかった」かどうか、「その義務を怠らなくても損害が生ずべきであった」かどうかという民法上の解釈です(民法714条1項)。この判断材料について、いじめ問題が刑事事件(少年事件)や、第三者委員会が設置されるような案件であれば、捜査機関(調査期間)の記録(調査報告書)によって、ある程度立証できるのですが、何もないとなると監督義務と損害との間の因果関係の主張立証が極めて困難となります。
福岡高裁の判決文を直に読んだわけではないので詳細については不明ですが、今後の犯罪被害者支援活動に活かしていくためにも、第一審判決と結論を分けた部分がどこにあったのか意識して分析していきたいと思います。
弁護士 市村陽平