われわれ弁護士には、職責を果たす上で習得しなければならない事柄がいくつかあります。法律や判例等の法的知識はもちろんですが、相談者に対してわかりやすく説明する力や、法廷で依頼者に有利な証言を引き出す尋問技術も必要です。それに加えて、私がとりわけ重要だと感じているのが、文章による表現力です。
昔から「文は人なり」という諺言があるように、文章を読めば、書き手の人柄や性格、思考回路までほとんど理解できますし、相手に同じ趣旨の話を伝えるにも、書き手の個性によってまるで伝わり方が変わってくることもよくあります。弁護士が作成する法律文書として、誤解を与えない表現をすることは基本ですが、私自身、そこからさらに読み手の思考に沿った説得力ある文章になるようあれこれ悩む日々です。
弁護士 市村陽平