ご相談事例

テレワークと事業場外みなし労働時間制


昨今のコロナ禍によりテレワークという働き方に注目が集まっていますが、テレワーク導入の際の留意点については、コロナ問題に先立って、厚労省が働き方改革実行計画の一環として、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」という指針を公表していました(平成30年2月22日基発第0222第1号)。

外出自粛が求められる情勢において、テレワークは有益な働き方に間違いありませんが、使用者にとっては、労働時間の管理という意味において難しい問題をはらんでいます(例えば、中抜け時間、休憩時間、残業等)。そのため、就業規則に事業場外みなし労働時間の定めがある企業では、いっそのことテレワーク全般をこの制度の適用対象とすることを検討されているかもしれません。

しかし、上記ガイドラインでは、テレワーク自体が事業場外みなし労働時間制の適用対象となることは認めているものの、無条件に認めているわけではなく、①情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと、②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないことという要件を満たす必要があります。すなわち、労働者が自由に情報通信機器から離れられなかったり、即応の義務が課されている場合などは、①の要件を満たしませんし、使用者から都度指示を受けながら作業を行っていると②の要件を満たさないことになります。そうすると、テレワークを取り入れても、多くの企業ではこれまで通り、労働時間を適正に管理していかなければならないと思われます。

テレワークについては、労働時間の管理だけでなく、安全配慮(労働災害)や業績評価の観点からも難しい問題が生じます。コロナが収束した後も活用できる仕組み作りを今のうちから進めてみてはどうでしょうか。

 

弁護士 市村陽平


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