2026年から司法試験でパソコンによる受験が可能になるそうです(R5.6.25日経朝刊)。記事によると、「ペンや紙を使う実務はほぼなくなっておりデジタル社会に見合った方式へ変える」とのこと。当然と言えば当然ですよね。私が弁護士登録した約15年前頃にはすでに裁判所に提出する主張書面を手書きで作成している弁護士はいませんでした。まれに陳述書を手書きしている当事者も見かけますが、弁護士以外が作成する書面についても、ほぼ9割程度がパソコンを使っている印象です。
私が受験していた頃、論文試験では限られた時間内で、ある程度の分量の答案を手書きしなければいけなかったので、日頃から疲れにくく書きやすい筆記具を探して試すことも試験対策の一環となっていました。あの頃は毎日何らかの答案を書いていたので、しょっちゅうインク交換をしていた記憶が今でも残っています。中指の第二関節付近左内側は、酷使しすぎて皮膚が硬くなっていました。答案を修正するときは、ペンで二重線を引いて消すというルールになっていましたので、制限時間ギリギリになって修正する必要に気がつくと焦りのあまり本来消す必要のない部分まで二重線を引いてしまったりしてパニックになってしまったことが何度もありました。
これがパソコンで作成できるようになると、受験生にとっては余分な答案作成のストレスから解放されて問題に集中できると思うので、よい制度改正といえるのではないでしょうか。
弁護士 市村陽平