ご相談事例

財産開示制度の利用状況について


裁判所での財産開示手続の件数が大幅に伸びているようです。日経9.19朝刊記事によると、昨年の申立件数は前年の約7倍となり今年もすでに前年を大きく上回るペースだそうです。

昨年4月に施行された改正民事執行法により、これまで使い勝手の悪かった(ほとんど利用されていなかった)財産開示制度がようやく本来の機能を取り戻しつつあるのではないでしょうか。私も改正法施行前に数件財産開示を申し立てたことはありますが、奏功したことは一度もありません。ほとんどの事案で債務者が反応すらしなかったり、回答書が出てきても「財産なし」にチェックしてあるだけという状態でした。

冒頭の記事では、申立件数の増加について、罰則強化が背景にあるという視点でまとめられていましたが、私としては、むしろ第三者からの情報取得制度が大きく影響しているのではないかと考えています。というのも、法改正により、債務者本人が不出頭や正確な情報を陳述しなかったとしても、財産開示手続を経ていれば金融機関や地方自治体などから債務者の財産情報の開示を得られるようになったからです。

苦労して裁判で勝訴しても、判決が形にならなければ依頼者にとって意味がありませんので、紛争の終着駅である強制執行制度については誰しもが安心して利用できる使い勝手のよい制度になっていくことを期待しています。

 

弁護士 市村陽平


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