マンション内での騒音をめぐるトラブルで、管理組合の代理人として訴訟提起した事案が全面勝訴で終結しました。裁判での争点としては、①被告が騒音の発生源か、②騒音がマンション全体の共同の利益に違反しているか、③違約金としての弁護士費用を請求できるのか、という3点でしたが、すべてこちらの言い分が認められました。特に争点①については、被告側が全面否認していましたので、立証には困難を伴いましたが、管理組合側で申立てをした証人の証言の信用性が認められた結果、立証の壁を乗り越えることができました。
マンション内の住民は、5年以上にわたって意図的な騒音に苦しめられ、睡眠不足や精神不安に陥るなど日常生活に多大な影響が及んでいました。住民の話では、訴訟提起した段階で騒音は収まっていたようですが、さらに勝訴判決も取得できて安心したようです。なお、争点③に関し、着手時点で組合が立て替えた弁護士費用も全額回収することができました。
騒音問題などの近隣トラブルは法的な解決が難しい類型の紛争に位置付けられます。この種の事案は、紛争毎に求める内容が違っているため、今回の件は、そもそもどうような請求の趣旨を立てるかでも頭を悩ませました(訴訟の途中で予備的請求も立てることになりました。)。この先、完全に平穏な日常が取り戻せるかどうかは何とも言えませんが、万が一、再び騒音が発生した場合でも、次の段階の紛争を見据えたときに、今回の全面勝訴判決は大きな役割を果たすことになると思われます。
弁護士 市村陽平