ご相談事例

相隣関係の相談について


最近、続けて相隣関係についての相談を受けてアドバイスをしたので紹介します。

1つ目が、他人の土地の地下に水道管を通して排水している相談者がその土地の所有者から水道管を撤去しろと言われて困っているという相談内容。これについては、令和3年の民法改正により、継続的給付を受けるための設備の設置権という形で他人の土地に設備を設置する権利が明文化されました。現時点で、改正法は施行されていませんが、平成14年の最高裁判例では民法220条、221条の類推適用によって救済されていますので、本件でも相談者は他人の土地を利用することは可能であり、水道管を撤去する義務はないと判断されます。

2つ目が、高低差のある隣地同士で、低い土地の所有者から高い土地の所有者に対して雨水が流れ込んでくるため排水溝を設置しろと要求されて困っているという相談内容。民法では、雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならないと規定されていますが(218条)、自然水流に関しては「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない」(214条)と規定しているのみであり、高知所有者に対して積極的に工作物等を設置する義務を課していません。したがって、相談事案では、低地所有者からの要求は通らないと考えられます。

法律的には以上のような回答になりますが、相隣関係のトラブルは杓子定規に解決できないことが多くお互いに恨みつらみをもったまま住み続けるのも大変なので、今回の2件の相談者に対しても解決を急ぐのではなく、相手の話をよく聞いて落としどころを探ってみてはどうですかというような助言をしました。

 

弁護士 市村陽平

 


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