ご相談事例

発信者情報開示請求への対応について


7月は発信者情報開示請求に関連する相談を2件受けました。どちらもBitTorrentというファイル共有ソフトを利用して映画等のコンテンツを違法ダウンロード・アップロードをしてしまったため、著作権者やプロダクションからプロバイダに対して発信者情報の開示請求がなされ、請求を受けたプロバイダから意見照会が届いたという流れです。

プロバイダ責任制限法では、プロバイダが権利者(被害者)から発信者情報の開示請求を受けた場合、当該発信者の意見を聴くことが義務付けられているため、原則として発信者へは意見照会書が届きます。対応としては、①開示に同意する、②開示を拒絶する、③回答しない(無視する)の3パターンになりますが、仮に②や③の対応をしたとしてもプロバイダの判断で発信者情報が開示されるケースが多いようです。

著作権者等へ発信者情報が開示されると、通常の展開としては、行為者が巨額の損害賠償の請求を受けることになります。発信者情報の開示請求の段階では行為者に争う余地がなくても、損害賠償請求段階では、権利者の主張する損害額や、違法行為と損害との因果関係などを争って、請求金額が減額されることも多くあります。

最近はプロバイダへの開示請求がかなり立て込んでいるようで、意見照会が届くまでに半年近くかかることも少なくありません。その後、損害賠償請求を受けて裁判で争うとなると1年以上かかることになります。その間に抱える様々なストレスを考慮すると、開示請求を受けた段階で示談交渉に取りかかって早期に解決を目指すという選択も有りかもしれません。

 

弁護士 市村陽平


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