ご相談事例

賃借権の時効取得について


不動産を所有する権利の時効取得については知っている方も多いと思いますが、実は不動産を借りる賃借権についての時効取得も判例上認められています。現在、私が担当する事案で、その賃借権の時効取得をめぐって訴訟が進行している最中です。

所有権と賃借権の時効取得では、主観面(所有する意思か賃借する意思か)の違いだけで、時効が成立するためのその他の要件はほぼ同じです。ただ、賃借権の場合は、単純に所有権を取得するのと異なり、期間、賃料、契約条件などの付帯要素が加わることから、賃貸借の途中でこれらの内容が変更されているような場合には、いつの時点での権利関係を時効取得するのか問題となり、議論が込み入ってきます。

今回の件では、時効取得の主張はあくまで予備的な法律構成であり、もともと最初からこちらが主張する賃貸借契約が締結されていたという主張を優先的にしているため、判決となった際には時効取得には触れずに賃借権設定の事実だけが認定されるとよいのですが・・・

 

弁護士 市村陽平


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