日頃、寺院関係者の方と話をする中で、門徒さんから愛玩動物(ペット)の供養や納骨を頼まれることが多いけど引き受けても問題ないですか、というような相談を受けることがあります。もちろん、宗教法人が寺院規則や登記事項に規定される活動の範囲で行う事業について制約されることはありません。もっとも、寺院が常日頃担っている人間の葬儀や供養とは異なり、ペットの葬儀などは宗教活動ではなく、収益事業と認定され法人税の課税対象とされる可能性がある点に注意が必要です。
この点、過去にペット葬祭業の収益事業該当性が問題となった事案(最高裁平成20年9月12日判決)では、ペットの葬儀は外形的にみると、請負業、倉庫業及び物品販売業並びにその性質上これらの事業に付随して行われる行為だと認定され、法人税の課税対象になると判断されました。したがって、宗教法人としては、ペットに関連する宗教行為を担う際には、通常の宗教活動とは区別して経営を行う必要があると考えられます。といっても、最近では、人の墓地と同じ区画にペットの墓石が建立され納骨されるケースも珍しくなくなっており、厳密に区分けすることは困難といえるかもしれません。
弁護士 市村陽平