近頃の報道によると、政府は、子どもと接する職場をもつ事業者に対して、従業員の雇用時に性犯罪歴の確認を義務化(日本版DBS制度を創設)するようです。対象となる職場としては、学校、保育所、幼稚園、児童養護施設のほか、学習塾やスポーツクラブも認定事業者として任意の確認が検討されているとのことです。
まだ具体的なイメージがつかめませんが、政府が新たに犯罪照会システムを構築する見通しのようで、そこにはどこまでの性犯罪歴がデータベース化れるのか(痴漢や盗撮も含まれるのか)、既存の社員も調査の対象となるのか、一度掲載されてしまうと一生データが削除されることはないのか、システムへのアクセス権限を誰に与えるのか等難しい問題がいくつか想定されます。また、従業員採用との関係では、これまで採用面接の際などに犯罪歴を確認することはタブーとされてきましたが、今回の制度創設によって実務対応がどのように変化するのでしょうか。
また、制度とは直接関係ありませんが、人手不足が叫ばれる昨今、調査対象を広げ厳格な運用が求められることになると、これらの業界で働こうとする人がますます集まりにくくなるかもしれません。早ければ今秋の臨時国会に法案提出される可能性もありそうなので、引き続き注目していきたいと思います。
弁護士 市村陽平