ご相談事例

増加の一途をたどる無縁墓について


総務省行政評価局による実態調査によって、公営墓地を運営する市町村の58%が、管理する親族らのいない無縁墓を抱えていることが判明したそうです(R5.9.14日経朝刊)。無縁墓を放置したままの理由としては、「撤去した墓石の保管場所が確保できない」、「撤去後に親族らが現れ、賠償請求される可能性がある」という回答がされたとのこと。

現在、弊所でも複数の寺院から、この無縁墓(納骨堂も含む)の問題に関する対応を依頼されています。墓地埋葬法に定められた手続に則り改葬の手続を進めていけば、親族からの賠償請求が認められるという可能性はまずもってありません。ただ、最終的な課題は、法的なトラブルが回避できたとしても、墓石等の処分(特に処分費用)になります。こればかりは、どうしても寺院の方で負担しなければならず、数が多いと金額も膨れ上がってしまいます。

今回の実態調査は、公営墓地を管理する市町村を対象に行われたものであり、地域の共同墓地や民間の寺院等も含めると無縁墓の数はもっと多くなるのではないでしょうか。多死社会を迎えますます少子化が進む日本において、所有者不明土地や管理者不明墓地の問題は、もはや一刻の猶予もない喫緊の難題の一つといえるかもしれません。

 

弁護士 市村陽平


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