ご相談事例

民事再生手続について


今年に入ってから3件の民事再生申立ての相談を受けています。民事再生は、債権者から再生計画案の認可を受ける必要があるものの、破産と違って一定の資産を残せる上、免責不許可事由がある債務者でも利用できることから、安定した収入を得る見込みのある債務者の場合には再生手続を選択することもあります。

民事再生の一番大きな特色が、住宅資金特別条項を用いた再生計画です。個人の再生手続の申し立てでは、住宅ローンが残った自宅を残したいという目的で、破産ではなく個人再生手続を選択するケースが珍しくありません。ただし、この住宅資金特別条項を用いる場合、住宅ローン債権者との間で事前協議が必要となり、中には個別面談を通して与信に問題がないか確認を求められる事案もあります。また、いったん期限の利益を喪失して保証会社による代位弁済が実行されている事案では、いわゆる「巻戻し」と呼ばれる代位弁済を遡及的に消滅させる手続が必要となることから、利息や延滞金の複雑な計算を強いられます。

この他にも、個人再生の場合、裁判所による個人再生委員の選任が事前に見通しにくいこと、履行可能性がないと判断されて再生計画が不認可となるリスクもあることから、相談を受けた当初から方向性を決めて進めていくのが難しい類型の事件です。また最近では、経営者保証ガイドラインや自然災害ガイドラインも浸透してきており、こちらの方が信用情報機関に事故情報として登録されないメリットもあるため、利用できる条件が整っているのであれば、ガイドラインを活用した債務整理も選択肢に入れてよいかもしれません。

 

弁護士 市村陽平


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