従業員が自宅でのテレワークで長時間残業を強いられた結果、精神疾患を発症したとして労災認定を受けたとの報道がありました(R6.4.4朝日朝刊)。記事によると、代理人弁護士が「テレワークによる労災認定は異例だ」と語っていたようで、実際に私も今までこのような事例を見聞きしたことはありません。
詳細は不明なのですが、やや気になったのが、労災認定を受けた従業員は経理や人事を担当していたようで、会社は自宅でのテレワークでありながら事業場外みなし労働時間制を採用していたとのこと。裁判では、外勤の営業マンやツアー添乗員でも、なかなか事業場外みなし制度の適用を認めてもらうのは困難で、経理・人事担当の一般社員に対してこの制度の対象としていた会社の対応にはかなり疑問があります。
事業場外みなし制度の位置付けや、テレワークでの労働時間管理は、日頃からしっかりと制度設計して定期的に確認をしていかないと、従業員にとっても会社にとっても不幸な事態を招く結果となってしまいます。
弁護士 市村陽平