ご相談事例

改正民事執行法について


2020年4月1日は、社会に大きな影響を与える重要な法令がいくつか施行されます(これまでにも、改正債権法や有期パート労働法について紹介してきました)。今回、取り上げる改正民事執行法も、その重要な法令の一つに挙げられます。

われわれ弁護士は、裁判で貸金や損害賠償金を請求する事案などで、依頼者の方から、「裁判でこちらの請求が認められれば裁判所が相手の財産を見つけて金銭を回収してくれますよね?」という内容の質問を受けることがよくあります。ところが、残念なことに、日本の法制度では、裁判所が進んで相手方の財産を見つけてくれるという仕組みにはなっていません(依頼者に説明するのもなかなか心苦しいのですが・・・)。というわけで、せっかく苦労して判決を勝ち取っても、相手の財産がわからず、まさに「絵に描いた餅」になることも珍しくないのです。

このような課題を見直すべく、昨年の5月10日に、債務者財産の開示制度の実効性を向上すること等を目的とした民事執行法の改正法案が国会で成立しました。これにより、①金融機関から、債務者の預貯金債権や上場株式・国際等に関する情報を取得、②登記所から、土地建物に関する情報を取得、③市町村、日本年金機構等から、給与債権(勤務先)に関する情報を取得することができるようになりました(ただし、③については債権者の範囲に限定あり)。また、現行の財産開示制度を利用しやすく実効的なものにするために、現行法からさらに罰則が強化され、申立権者の範囲も拡大されました。

今回紹介した改正民事執行法の施行により、過去に塩漬けとなった債権について、回収の動きが活発になっていくかもしれません。

 

弁護士 市村陽平

 


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