ご相談事例

ハラスメント保険について


5月20日の日経新聞の朝刊に、「ハラスメント保険、急拡大」という記事が載っていました。記事によると、職場でのいじめや嫌がらせ(ハラスメント)に備える保険市場は、損害保険大手4社の契約件数をベースにして、4年間で3.8倍に増えたとのことです。また、ある損保会社の商品設計では、従業員1000人規模の製造業だと、年間保険料は約90万円で最大300万円の保険金が支払われる仕組みになっていると紹介されていました。

私は、数年前、経営者協会の会員企業向けのセミナーでパワハラをテーマに研修を行った際、ハラスメント事例についての過去の裁判例を調査したことがあるのですが、ハラスメントによって被害者の生命身体にまで危害が及んだというような特別なケースを除いて、高額な慰謝料が認められる事案はそれほど多くありませんでした。もっと言うと、会社の責任が認められたとしても、上記記事の年間保険料程度の金額(※保険金額ではなく)で済んでいる事案も多く見受けられました。

そうすると、生じるかどうかもわからない上に、生じたとしても多額の損害賠償が認められにくいハラスメント事案の紛争リスクのために、年間90万円もの保険料を納めるのが本当に得策といえるのかどうか疑問に感じてしまいます。むしろ、保険料に90万円も支払うなら、相談窓口の設置やハラスメント研修などに費用を投じた方が企業戦略として有益なのではないでしょうか。

今年の6月からは、いよいよパワーハラスメント防止法が施行されます(中小企業は2022年4月からの施行)。保険加入の有無にかかわらず、企業としてハラスメントを生じさせない職場環境を構築していく必要がありますので、まずは、就業規則の整備、相談の受付体制、従業員教育などを見直してみてはいかがでしょうか。

 

弁護士 市村陽平


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