ご相談事例

完全オンライン総会解禁に向けて


政府の成長戦略会議の議論状況によると、来年度からオンラインでの株主総会の開催を認める方向で法改正を進めていくようです。今年もコロナ禍により、一部ではオンラインを採り入れた株主総会が開催されていましたが、会場で開催されている総会を中継するという不完全な形でしか実施されていませんでした。というのも、現行会社法では、株主総会開催にあたり、物理的な「会場」の設置を義務付けており、バーチャルオンリーの開催はできないとされていたからです。

長年、日本では6月の特定日に企業の株主総会が重なることが多く、複数の企業の株式を保有する個人株主にとって、総会出席への障害となっていました。今後、完全オンライン開催が認められるようになると、同一日に開催されても、自宅にいながら複数の企業の総会に参加でき、メリットは大きいのではないでしょうか。近年、日本の株主総会も、アクティビストによる発言や提案によって、従来の株式持ち合いによるシャンシャン総会から脱却しつつあります。東証の市場区分の見直しと連動して、コーポレートガバナンスコードも次々改訂されてきており、今後も株主との向き合い方を中心とした企業統治への意識がますます重要になってくるでしょう。

M&A市場の拡大やESG投資の加速、それに伴う議決権行使助言会社の影響力増大など、この先数年の間に日本の企業を取り巻く環境に大きな変化が訪れると予想されますので、法改正や新たな指針などに注目していきたいと思います。

 

弁護士 市村陽平

 


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