ご相談事例

改正会社法について


令和元年に成立した改正会社法が、いよいよ本年3月1日から施行されます。平成17年に当時の商法から切り離され、大幅に内容が見直された会社法ですが、その後、数度にわたって主に企業統治に関わる改正が行われてきました。今回の法改正の注目点としては、①上場企業での社外取締役設置の義務化、②取締役会での取締役報酬の決定方針決議の義務付け、③役員賠償責任保険や会社補償に関する規定の整備、④社外取締役への業務執行権を認める規定の整備、⑤株主提案権について個数制限の導入といったところでしょうか。また、施行は来年以降となりますが、⑥株主総会資料の電子提供制度の導入もこれまでの実務的運用を大きく変える制度として注目されます。

①については、すでに東証への上場企業のうち99%が社外取締役を設置していることから後追い的な改正であることは否めませんが、上場企業にとって社外取締役への関心は、むしろこの先予定されている東証の市場再編によるプライム市場生き残りとの関係で重要だと思われます。報道によると、現在、金融庁と東証で改訂が進められているコーポレートガバナンスコードでは、プライム市場に採用されるためには、全体の取締役のうち社外取締役の人数を3分の1以上にしなければならなくなるようです。果たして、日本に適任者がそれだけの人数いるのでしょうか・・・

日頃、私が相談を受ける中小企業にとっては、今回の会社法改正によって直接影響を受ける部分は少ないかもしれませんが、非上場企業であっても総会運営や役員報酬など近年の企業統治に関する社会の潮流に逆行しないような会社運営を心がけていく必要がありますので、役員との定期面談や研修の際には、今回の法改正にも触れておきたいと思います。

 

弁護士 市村陽平


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