先日、ソフトバンクグループが約370億円の申告漏れを指摘されたというニュースがありました(R5.1.25日経朝刊)。どんな内容なのか記事に目を通してみると、同社がM&A前に実施したデューデリジェンスについて、調査に要した費用を資産ではなく費用に計上して損金処理したことが国税当局によって否認されたようです。
私も以前に公認会計士からこの問題の処理の難しさを聞いた事があり、一般的には、会社でM&Aの最終意思決定をする前は「費用」、決定後は取得価格として「資産」に計上するようですが、判断に迷うケースが少なくありません。特にオーナー経営の中小企業では、代表者が取締役会に諮る前に仲介業者等から紹介を受けて会計士や弁護士に先行調査を依頼することもよくあります。
記事によれば、これまでに裁判で司法判断が示された例はないとのことで、企業にとっての予測可能性という意味からも明確な判断基準が示されることが待たれます。
弁護士 市村陽平