ご相談事例

株主総会開催の重要性


新型コロナウイルスの影響が株主総会の開催にまで及んでいるようです。開催場所に看護師を常住させたり、マスクと消毒液を常備したりと準備する企業も対策に追われています。

ところで、会社法上の公開会社で株主総会を開催していないという会社はさすがにないでしょうが、中小企業を中心として、株式に譲渡制限を設定している会社や株主の数が少ない同族会社などでは、書面だけ開催した形にしておいて、実際には招集通知も出さず、総会の開催すらしていないという会社も多いかと思います。

しかし、この対応が思わぬ落とし穴となり、泥沼の紛争に発展する事案を複数見てきました(訴える側も訴えられる側も経験しました・・・)。たとえば、取締役の報酬や退職金の支給などは、原則、株主総会の決議が必要となるのですが、実際には総会を開催していないにもかかわらず、書面上、開催した形を残して支給してしまい、後にこれを知った株主から株主総会決議不存在確認請求訴訟を起こされるという事例がありました。

こういった事態を招かないためにも、取締役ら会社役員は、定時の株主総会は必ず開催するという意識をもって企業統治にあたることが重要になってきます。昨年12月に成立した改正会社法でも、上場会社における社外取締役設置の義務化や、株主に対する取締役報酬の開示措置などコーポレートガバナンス強化に向けた見直しが行われていますので、企業経営者の方は、今一度、自社の株主との関係や意思決定ルールについて確認をしてみてはいかがでしょうか。

 

弁護士 市村陽平

 

 


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