ご相談事例

会社経営者と専業主婦の休業損害


当事務所は、交通事故を専門的には取り扱っていませんが、車社会の西三河地域に事務所を構えていることもあって、月に3件程度は交通事故の相談や交渉の依頼があります。

少し前に依頼を受けた事件で、会社経営者の夫と専業主婦の妻が乗っていた車が追突事故を受けて、事故の相手方の保険会社に対して損害賠償を請求するという事案がありました。一般に、交通事故で人身に被害を受けて休業を余儀なくされた場合、休業損害を請求できるのですが、この事案では、会社経営者の夫は事故後ほとんど仕事ができなかったにもかかわらず、役員報酬を定額で受け取っていたため休業損害はわずかしか認められなかった一方、事故前に働いていなかった専業主婦の妻は、家事従事者として、夫を上回る休業損害(いわゆる主婦休損)が認められました。

結果的に、事件は円満に解決してよかったのですが、依頼者としては、なぜ仕事をしていない専業主婦に休業損害が認められるのか疑問に感じているようでした。現在では、最高裁の判例によって主婦休損を認める考え方が定着しているものの、今でも弁護士が介入しない事案では、保険会社は最初から専業主婦の休業損害を提示しなかったり、提示したとしても相当低い金額しか示さないことが多々ありますので、注意が必要です。

ちなみに、会社経営者の逸失利益については、休業損害とは異なり、現時点での収入減がなくても認められるケースがありますので、気になる方は一度、弁護士にご相談下さい。

 

弁護士 市村陽平


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