ご相談事例

駐車場内での接触事故の過失割合について


ここ数年、駐車場内での接触事故により過失割合が争われた事件を数多く担当してきました。道路走行中や交差点内の事故については、これまでの裁判例の集積により過失割合が定形化され見通しが立てやすいのに対して、駐車場内の事故については、動いていたのか止まっていたのか、どちらが先に進入していたか、切り返す動作が進入なのか退出なのかといった内容が争われることが多く、相談を受けた段階でなかなか結論の見通しを立てにくいのが実情です。

最近相談を受けたのが、店舗の駐車区画に頭から進入した瞬間に後方からバックで退出してきた車と接触したという相談でした。一般論として、退出する車は駐車区画進入車の動静に注意し、通行部分への退出を控える義務があると考えられていることから、退出車の過失割合の方が大きくなると評価されますが、退出車に全面的な過失が認められるかと言われるとそうとは言い切れません。裁判になれば、進入車にも退出車が駐車区画から退出することを予見できたと認定される可能性は否定できないと思われます。ドライブレコーダーや店舗設置の防犯カメラの映像などを確認できていないので断定的なことは言えませんが、おそらく双方の過失としては、退出車70に対して進入車30という割合が基本の水準になるでしょうか。

今後、駐車場内の事故に関しても、紛争事案が積み重なることによって細かな過失の修正要素が明確にされることが待たれます。

 

弁護士 市村陽平


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