ご相談事例

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ(2)


メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換は、①拘束的な働き方からの解放、②同一労働同一賃金の広がり、③定年の廃止・解雇の金銭的解決という3つの大きな変容をもたらすと思われます。今回は、このうち①拘束的な働き方からの解放についてまとめてみます。

ジョブ型雇用が採り入れられると、まずもって、日本型雇用システムの代名詞でもある終身雇用を前提とした新卒一括採用が大幅に見直されることになります。これまで日本の企業は、新卒の若い人材を獲得し、社内で複数の勤務地や職務を経験させる配転を通じて、社内調和に長けたゼネラリストを養成してきましたが、このような人材活用は、社員にとって長期雇用が保障される代わりに、滅私奉公的な働き方を強いることとなり、転勤による単身赴任生活や育児や介護による離職という損失をもたらしてきました。

この先、将来の会社経営を担う一部の基幹人材の採用を除いて、一定のスキルを身につけた社員を中途で採用する方向に切り替わると、多くの社員は、採用時に職務と勤務地が限定され、今まで正社員なら当然とされてきた「いつでもどこでも何にでも」といった広範囲な配転を伴う拘束的な働き方から解放されます。ホワイトカラーの一部には、都心のオフィスに出社しなくても出来る仕事もあるため、現在のコロナ禍で広がりをみせている在宅勤務などのテレワークも恒常化していくと予想されます。その結果、欧米諸国から、奴隷的な働き方とも言われていた、通勤地獄や非生産的な長時間労働も、早晩、過去の遺物と化していくのではないでしょうか。

次回は、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換を通じて、同一労働同一賃金が広がる理由について説明したいと思います。

 

弁護士 市村陽平

 


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