ご相談事例

アルバイトのシフトカットについて


1月14日朝日新聞朝刊『シフト減補償されず』によると、「飲食店で営業時間の短縮が進むなか、大手チェーンの働き手から、シフトを減らされた分の収入減が補償されないとの訴えが相次いでいる。」という問題提起。会社側の対応としては、「既にシフトが組まれていた分についてはシフト削減の休業手当を払うとする一方、シフトが未定だった1月後半以降については、休業手当を支払う義務はないと主張しているという。」とのこと。

もともと、パートやアルバイトは、所定労働日数の定めや転勤がなく、好きなとき(自分の都合のいい時間)に好きな場所を選んで働くことができるということに大きなメリットがあるはずです。そのため、通常は、会社側と調整して月単位や週単位で出退勤の時間(シフト)を決めて労働力を提供するという働き方をとっていると思われます。とするならば、シフトが決まっていない期間については、そもそも就労が予定されておらず、休業手当が問題になることはないというのが一般的な考え方となるはずです。したがって、上記記事の会社の対応としては、何ら問題ありません。

昨年、私自身も、コロナ禍でやむを得ずアルバイトのシフトをカットした会社の労働審判事件を受任しました。そのとき、労働者側からはシフトカットは「解雇」だとの主張を受けましたが、会社側が解雇の意思表示など一切していませんので、さすがに解雇はないだろうと・・・いずれにしても、平時は、好きなときに好きな場所で好きな時間だけ働くという働き方を選択している労働者が、コロナ禍のような有事の際には正社員と同様の休業補償をすべきと主張するのであれば、本来、立法府や行政府に向けられるべきであって、雇用主に向けられるのは筋が違うのではないでしょうか。

 

弁護士 市村陽平


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