ご相談事例

下請法改正によるフリーランスの保護について


会社など特定の組織に属さずフリーランスとして働く人材を保護するため下請法の改正が行われる見通しとなりました。フリーランス保護の方策をめぐっては、従前、労働基準法の適用を拡充する等の労働法制で対処する案も検討されていましたが、下請法の改正で落ち着いたようです。

労働法は、雇用契約を結んだ使用者と労働者に適用される法体系となっていることから、特定の企業から指揮命令を受けることなく複数の発注者から単発的に仕事を請け負うようなフリーランスに適用を拡大させることには相当無理があったように思われます。その意味で、下請法によって保護を図るという方向性自体は間違っていないといえます。他方で、下請法は、発注者が優越的立場を利用して下請業者に不当な取引を迫ることを防止する目的として構成されており、取締りの中心は代金支払の遅延や買いたたきとなっていることから、この枠の中でハラスメントに対する安全配慮義務や契約の更新等の問題にも踏み込めるのかどうかが課題となりそうです。

この他にも、最近、労働に関する分野ではデジタル給与払いを可能とする議論も進んでいるようで、私が弁護士登録をした十数年前にはまったく想定もされていなかった検討課題が次々と登場して興味深くなってきています。

 

弁護士 市村陽平


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