最近は遺言書の作成と同時に任意後見契約を取り交わすケースが増えてきています。判断能力がしっかりしているうちは自分自身で財産管理をすることができますが、次第に衰えてくると施設の入所手続や不動産の維持管理等について本人に代わって担っていく後見人が必要となってきます。こうして、専門職の弁護士が本人の老齢期の財産管理を担った後、死後には遺言に基づき受遺者に対して遺産を分配する遺言執行者に就任することによって、切れ目なく円滑に手続を進めていくことができるのです。
後見契約を締結すると、それ以後、ずっと費用がかかるのではないかと心配される方もみえますが、ご自身で財産管理ができる間は後見人の費用はかかりません。一度に依頼を受けた場合は、公証役場に行く回数も一度で済みますし、私の場合は、遺言と任意後見のパッケージサービスとして個々に依頼を受ける場合より料金を低く設定しています。また、身寄りのない方などには、連携する寺院での納骨や永代供養についても一緒に取り扱うことが可能です。
超高齢社会に向かう中で、今後も高齢者の安心を支える取り組みを進めていきたいと思います。
弁護士 市村陽平