ご相談事例

分割協議ですべての遺産を取得できた事案


先頃、解決した遺産相続の事案では、3人いる相続人(その中の一人が私の依頼者)のうち、一人は依頼者がすべての遺産を取得することについて承諾していましたが、残りの一人とは連絡がとれず行方がわからない状態となっていました。共通の知人から連絡先を聞いたり、住民票を取り寄せるなどして接触を試みましたが、まったく反応がなかったため、依頼を受けてから約半年後に遺産分割調停を申し立てることになりました。しかし、遺産分割調停を申し立てると、よほど特別の理由がない限り、法定相続分の割合で遺産分割するよう話が進んでいくことになります。今回の事案は、遺産の大部分が不動産であり、相続開始後、依頼者がその不動産をすべて管理していたことから、単独で相続することを強く希望していました。

そこで、依頼者とも相談して、調停を申し立てて以降も粘り強く所在調査にあたり、依頼者が単独で遺産を取得する内容で話がまとまらないか働きかける方針で進めた結果、最終的に運良く居所をつきとめて分割協議書に判をもらうことができました。もし、その相続人が調停に出頭せず、遺産分割審判になったとしたら、解決までに長期間要した上に、不動産は共有となり依頼者は完全な所有権を取得できなかったと思われます。その意味で、地道に所在調査と交渉を続けたことによって得られたメリットは大きい事案でした。

我々が取り扱う事件は「生き物」と言われることがありますが、途中で予想外の動きを見せることも稀ではありません。今回の件を通じて、私自身が、最後まで最善を模索して行動する重要性を再認識することができました。

 

弁護士 市村陽平


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